●●● ドイツでゲゼレ取得 ●●●   朝日新聞秋田県版2008年3月3日掲載

かわい農場
 ゲゼレ(Geselle)とはドイツ語で職人のこと。ドイツの国家資格であるゲゼレを取得した女性は、三種町森岳の川井紀恵子さん(26)。ハムやソーセージなどを作る食肉加工の職人だ。
 川井さんは03年からドイツのアシャッフェンブルク市にある食肉加工会社の社長兼マイスター(親方)の元で3年間修業。ゲゼレになって06年に帰国した後は、家族が経営する「かわい農場」の店で働いている。
 20代の女性が単身ドイツに渡り、食肉を扱う男性中心の職場でゲゼレを目指した理由とは。
「私は養豚農家の娘として育ちましたから」と川井さんは笑いながら経緯を語ってくれた。
 「かわい農場」を経営する川井さんの父・博さん(58)は72年に養豚を始めた。安全性や食味にこだわった飼育を続けてきたが、「見た目の良さが市場価値を決めている」ように感じ、肉の格付けのあり方に疑問を抱いたという。
 ある時、博さんは岩手県の養豚農家でドイツの伝統的な製法で作ったハムを食べ、衝撃を受けた。
 「父は素材として市場に出荷していた豚肉をハム・ソーセージに加工し、お客さんに直接手渡したいと考えたようです」と川井さん。
 最初は趣味の延長と思われていた博さんのハム・ソーセージ。しかし指導を受け試行錯誤を重ね、自信の持てる製品が完成した。95年に食肉加工の許可をもらい、自家生産の豚肉と加工品の直売店が開店した。
 川井さんはいう。
 「実は高校卒業後、自分のやりたいことが見つからず、秋田市の編集プロダクションで助手のようなことをしていました。そこで県内各地の食材や料理などを取材するうちに、父の仕事はすごいことだと思えるようになりました」
 1年後、自宅に帰った川井さんは店で肉を販売しながら博さんの元でハム・ソーセージ作りの手伝いを始めた。その頃、川井さんは博さんの師匠と関係のあるドイツの会社を訪れた。
 「ドイツの職人制度をこの目で見て、この国で本格的に修業してみたいと思いました」

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